くわい
吾輩は腐女子である。名前はまだない。何処で道を間違えたかとんと見当がつかぬ。なんでも男性同士が抱き合う表紙の本によって、薄暗い腐った道に引きずり込まれたことは記憶している。俺はその本の角で頭を殴られ、目が覚めたら……Twitterを流行りジャンル一色にされてしまっていた!俺は激怒した。必ず、かの邪智暴虐のBLを除かねばならぬと決意した。俺には二次創作が分からぬ。キャラ崩壊とクソギャグで全てを誤魔化していた。その報いをこんなところで受けることになるとはな……クッ……殺せ……!だが彼は無様に横たわる俺に手を出さなかった。それどころか、まるでオークションで受けを二億で競り落とす肩幅丸太のスパダリのように微笑み、俺にこう告げた。「生きろ、そなたは美しい」俺の心の中で赤い果実が弾けた。こんな気持ちは初めてだった。その言葉に感銘を受けた俺は、かつての志を思い出した。先生……無機物ホモが書きたいです……。諦めたらそこで妄想終了だと言ってくれた先生は、もういない。俺はペンを握り、ノートを広げ、そこに思うがままにゆで卵の殻×フライパンのショックでスリルなサスペンスラヴストーリーを書き連ねた。いつかこの作品が世に出ることがあれば、きっと先生は笑ってくれる。そう、信じて…… 次回、「生卵、死す」二次創作スタンバイ!