焔に消えゆくもの、その先に
包む炎の海。
街全体が燃え盛り、黒煙が空を覆い尽くしていた。
瓦礫の山と化した街路には、無数の人々が命を落とし、その亡骸が無惨に横たわっている。
その光景は、まさに地獄絵図そのものだった。
彼女は、崩れ落ちた建物の影から這い出し、目の前に広がる惨状に言葉を失う。
知人や友人、そして家族の姿を探し求め、焦燥感に駆られながら歩みを進める。
しかし、目に映るのは無惨な姿となった人々ばかり。
その中に、見覚えのある、愛する人の手があった。
「……嘘……こんな……」
膝から崩れ落ち、その人の亡骸に手を伸ばす。
温もりを失った身体は、現実の冷たさを突きつけてきた。
涙が頬を伝い、嗚咽が止まらない。
心の中で何度も叫ぶ。
なぜ、こんなことになってしまったのかと。
歩けていた身体も、充満していく煙で息をすることも、もうどうでもよくなり、
その場に倒れ込んだ。
焼けた瓦礫の下、もはや魂すら焼き尽くされてしまったような空虚の中で。
──大切なものはすべて、
当たり前だった大切なものは、最初からなかったとでも言うかのように、消え去っていた。
焼け焦げた空の下。
この手は、何も救えなかった。
その現実だけが、熱よりも強く突き刺さってくる。
私も──もう、助からない。生きることも、もう、放棄して。
このまま……貴方の元へ──。
♢
そして、もうひとりの少女はその光景を背にして、沈黙の中に立ち尽くしていた。
彼女の銀の鎧は傷だらけで、袖は裂け、手甲には血が滲んでいる。
剣を手にすることもなく、ただ虚空を睨むように。
その翠の瞳からは──涙のように、血が流れていた。
震える唇が、言葉を紡ぐ。
「こんな……こんなはずでは……!残されたものは、ただこの炎と……」
その声は、誰に向けたものでもなかった。
ただ己を貫いてきた信念が崩れ落ちた、その音だけが残された。
私は、聖杯を破壊した。
それは、私の願いを裏切る選択だった。
望みは叶わなかった。
起きたことといえば人は焼かれ、街は崩れ、希望は嘲笑うように黒煙の中へと消えていった。
ただ、拳を握りしめて、この地獄のような世界の中に立ち尽くすだけだった。
血が滲んだ手。
燃え落ちる空。
涙ではなく、血のような痛みだけが頬を伝った。
「──王になるべきは、私ではなかった……」
その言葉は、誰にも届かない。
炎に焼かれ、風に飲まれ、空に溶けていく。
誓いも、信仰も、想いも──すべてが砕けた。
この腕に宿っていたものは、もう何一つとして残っていなかった。
私は、空虚の中に立ち尽くしていた。
♢
──だが、焼け落ちた街の遠く、
瓦礫の山を越えたその上空。
黒煙の合間から、わずかに覗いた夜空の隙間に。
ほんのひとつぶの、星が彼女たちの夜空に光っていた。
何かを照らすには、あまりにも小さく。
誰かが気づくには、あまりにも遠く。
けれどそれは、確かにそこに“在った”。
この絶望のなかにも、まだすべてが終わったわけではないと。
語られることのない未来のために。
何かが……確かに、残っていた。
街全体が燃え盛り、黒煙が空を覆い尽くしていた。
瓦礫の山と化した街路には、無数の人々が命を落とし、その亡骸が無惨に横たわっている。
その光景は、まさに地獄絵図そのものだった。
彼女は、崩れ落ちた建物の影から這い出し、目の前に広がる惨状に言葉を失う。
知人や友人、そして家族の姿を探し求め、焦燥感に駆られながら歩みを進める。
しかし、目に映るのは無惨な姿となった人々ばかり。
その中に、見覚えのある、愛する人の手があった。
「……嘘……こんな……」
膝から崩れ落ち、その人の亡骸に手を伸ばす。
温もりを失った身体は、現実の冷たさを突きつけてきた。
涙が頬を伝い、嗚咽が止まらない。
心の中で何度も叫ぶ。
なぜ、こんなことになってしまったのかと。
歩けていた身体も、充満していく煙で息をすることも、もうどうでもよくなり、
その場に倒れ込んだ。
焼けた瓦礫の下、もはや魂すら焼き尽くされてしまったような空虚の中で。
──大切なものはすべて、
当たり前だった大切なものは、最初からなかったとでも言うかのように、消え去っていた。
焼け焦げた空の下。
この手は、何も救えなかった。
その現実だけが、熱よりも強く突き刺さってくる。
私も──もう、助からない。生きることも、もう、放棄して。
このまま……貴方の元へ──。
♢
そして、もうひとりの少女はその光景を背にして、沈黙の中に立ち尽くしていた。
彼女の銀の鎧は傷だらけで、袖は裂け、手甲には血が滲んでいる。
剣を手にすることもなく、ただ虚空を睨むように。
その翠の瞳からは──涙のように、血が流れていた。
震える唇が、言葉を紡ぐ。
「こんな……こんなはずでは……!残されたものは、ただこの炎と……」
その声は、誰に向けたものでもなかった。
ただ己を貫いてきた信念が崩れ落ちた、その音だけが残された。
私は、聖杯を破壊した。
それは、私の願いを裏切る選択だった。
望みは叶わなかった。
起きたことといえば人は焼かれ、街は崩れ、希望は嘲笑うように黒煙の中へと消えていった。
ただ、拳を握りしめて、この地獄のような世界の中に立ち尽くすだけだった。
血が滲んだ手。
燃え落ちる空。
涙ではなく、血のような痛みだけが頬を伝った。
「──王になるべきは、私ではなかった……」
その言葉は、誰にも届かない。
炎に焼かれ、風に飲まれ、空に溶けていく。
誓いも、信仰も、想いも──すべてが砕けた。
この腕に宿っていたものは、もう何一つとして残っていなかった。
私は、空虚の中に立ち尽くしていた。
♢
──だが、焼け落ちた街の遠く、
瓦礫の山を越えたその上空。
黒煙の合間から、わずかに覗いた夜空の隙間に。
ほんのひとつぶの、星が彼女たちの夜空に光っていた。
何かを照らすには、あまりにも小さく。
誰かが気づくには、あまりにも遠く。
けれどそれは、確かにそこに“在った”。
この絶望のなかにも、まだすべてが終わったわけではないと。
語られることのない未来のために。
何かが……確かに、残っていた。
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アルトリア・ペンドラゴン
Artoria Pendragon
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Saber (Fate/staynight)
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炎
flame
オリキャラ
original character
Fate/Zero
Fate/staynight
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128
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2025-04-20 00:01
Comments (2)
涙を流すイメージがなかったので、zeroのアルトリアの涙にはぐっときましたね 悲劇的なのに美しく感じる・・・
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