輸送艦 ローバー級
東カタロス社が主力として使っている廉価輸送艦。もともとは民間向けの貨物船をベースに軍用規格で建造したものである。徹底したコストダウンにより、さまざまな部分がケチられている。まず船体は老朽化した各種旧式艦艇の装甲を溶かして再利用した廃材で構成されており、エンジンも老朽化した貨物船や輸送艦のエンジン部品で使えるものを2個1したり虫食いでつなぎ合わせたりしたものでリサイクル品。座席や内装はカタリナ社イギリス局でかつて竣工していた貨客船やバス、電車の座席やベルト、偽装品の流用。艦橋にいたっては、安価なビルの部材であったりするなど、とんでもない船だった。東カタロス社は輸送力増強策として、カタリナ社から製造から何世紀もたった老朽艦や、火災や事故で廃艦になった艦艇を大量購入した。これを元に、船体・電装部品・機関部等を流用し、東カタロス社の下請けの属国や植民地工場で叩きなおしによる復旧や鋼体化改造を行い、粗悪な輸送艦の建造を一気に進めたのである。これによって「質」より「量」志向で、大量のローバー級輸送艦を建造、新規で建造するより何百倍ものコストダウンに成功するが・・・当然のことながらこのような粗悪な輸送艦を運用する東カタロス社の社兵はたまったものではなかった。建造当初から老朽船や退役した艦艇のより合わせで作ったようなこの輸送艦が実際に就航すると、沈没事故が多発し大きな問題となった。より合わせのような建造方式は、その当初から信頼性や強度が不足していた事が原因であった。建造してからたった一年の間で合計7隻が、瞬時の船体折損事故(自然崩壊)を起こしており、そのほかにも大小規模での船体破損が多数続発した。これらの問題に対して東カタロス社は大量に余っている旧式化した輸送艦や貨物船をまたつなぎ合わせて対処するという泥沼式の対処をずるずると続ける。事故が起きても新規で建造するよりも被害が少ないという、単純な数字面でしか見ていなかったのである。これらの事態に対して現場の軍の整備交渉では徹底した調査の結果、溶接手法の不備、応力集中による破壊の進行が原因と解明し、以後の造船技術はこれを教訓として研究・改良が行われ、涙ぐましい現場の努力によってローバー級の安定性をあげることに成功した。これらの一連の事件はその後の船体、溶接構造船体の普及に貢献し、結果として東カタロス社の技術力アップに繋がっている。
16
14
1925
2013-07-03 23:28
Comments (0)
No comments