【いうとおり】ルルイ・キキ【第六結】
◇こちらの企画に第六結参加させて頂きます【illust/47567569】
「…あげない。何もあげないよ。もう、必要もないだろうに」
「なんでボクは、こんなにも愚かな種族に産まれてしまったのだろう」
「こんなものでも欲しがる人はいるんだね。戯れに千切って、そのへんに捨てるのさ。
…ああ、もうやめて。イタイのは、スキじゃないのに…」
「ねえ、アナタはこんなボクを嫌うのかな」
「自分の価値すら分からない、コレをアナタに渡すことにすら怯えている、ボクの事を」
「ネエ、それでもいい、それでもいいから…覚えて、いて」
◇ルルイ・キキ。
女性/149cm/外見年齢25歳(実年齢50歳前後)。
【蒼折鳥 セキセツチョウ】の成人女性。
「ボク」「アナタ」「名前呼び捨て」
◇蒼折鳥とは:翼が硬化し宝石の様になってしまった種族。
売ればそこそこの高値がつく…と言われていたのは大昔のこと。
今では日常のアクセサリーにも使われるほど出回っているので安値。
硬化した為飛行は不可能、取ったら生えてこない。
◇性格について:非常に温厚で優しい女です。全てを受け入れ、全てを許しました。
言われた事はなんでもしますが、欲しいものはあげません。
欲しいならば、奪い取ってくれても構わないのです。抵抗はしません。
いつか洞窟に押し入った誰かに何か奪われました。気がついたら翼も欠けていました。
それでいいのです。奪い取ってください。抵抗はしません。抵抗はしません。
無価値な翼を受け入れ、翼と自分が同等の価値であると思い込んでいます。
しかし、この翼を人に渡す事はしません。欲しいならば、もぎ取って下さい。
翼を全てもいでなくなろうがどうでもいいと言いました。どうでも、あなたの目に一瞬でも自分が映ればそれでいいと。価値が無くなった自分をあなたにすべての人に会った人にどうにか覚えてほしくてぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちもいでもがれて痛くても声を上げても泣いても死んでも私達はそれが宿命なのです。受け入れたほうが楽なのです。
この体は、彼女は【蒼折鳥】なのですから。
◇◆◆♡素敵なご縁を結んで頂きました
いたくない、おおきくて、ちいさなアナタ イヴァンさん【illust/50684554】
大雨の中、一筋の光が外に落ちる。洞窟の中にも響く轟音が耳障りで。
がらんと珍しく一人になった暗闇に、唐突にきらきら輝く光が見えた。
大きなおおきなその人。はじまりはここから。
「…あげない。何もあげないよ。旅人さん」
(ああ。痛いのはキライなんだ。
ここに来たっていうことは、そういうことなんだろう)
「……いいもの、ボロボロ…。…アナタは、何処を見ているの…?」
(あれ、でも何もしない。
痛いのはキライ。そうだキライ。なんでそんなに、心配そうにボクを見るの)
「おか、し…」
(ネェ。ネェ…。
手には小さなお菓子一つ。初めての状況に戸惑って)
いくら待っても、いくら見つめても、なんにもされない状況下。
気づけば外は晴れ模様で、その人は立ち上がりボクを見た。
太陽の光が反射して輝く髪、太陽の中で真っ直ぐに伸びる背、太陽に。
まるで向日葵の様な人。アア、眩しい。
「アナタは、すぐにボクを忘れてしまいそうだ」
ポツリ、いつもの悪い癖。
それでも太陽は、笑っておおきな手をボクに向けてーーー。
(ちかり、ちかりとめがくらむ。
いたくない。イタくない。ネ、痛くないんだ)
(あたたかな、ひだまりのような)
(ヘンな人)
「…うん、ボクは覚えているよ。お菓子」
(あの時のひだまり)
「イヴァン……イヴァン。ボクはルルイ、好きに、呼んで」
(名前を教えたのは久しぶりで)
「…じゃあ、嬉しいよ。ボクはまたアナタに会えて、うれしいんだ…」
(何度も何度も太陽は洞窟に登って)
「みんな、大事な家族だよ」
(いつの間にか出来た、素敵な家族。アナタと同じで、みんなボクを忘れない)
「やあ。アナタはおかしな人だね。ボクに興味が無い癖に、ボクを覚えてくれるんだ」
ーー本当に、ヘンな人。
でも、でもね、やっぱりそう上手くは行かない。
洞窟に登らない太陽。つかない照明、いつまで待っても、いつまで経っても、イヴァンは来ない。
(コレのせいかな)
(コレがあるからだめなのかな)
(イヴァンも、価値の無いボクなんてやっぱりいらなかったのかなぁ)
わすれられた。大丈夫、いつものこと。
仕方ないんだ、ボクなんか、覚えていなくてもイヴァンに問題はない。
周りで家族は心配そうな顔をして、うん、大丈夫だよ。
ネエ、だからみんな、そんな顔しないで。
昨日も今日も明日も明後日も、もうずっと彼には会えない。
きらきら眩しいたいようさん。ボクとは余りに不釣り合いで、アア、アアア。
(この気持ちが何なのか)
(この燻りは何なのか)
(わからないし、わかれない。だってボクは、こんなにも醜い)
暗闇が広がる、顔を上げることすら億劫で、なんだかとても眠い。
がやがや周りで声がする。家族のいとしい声がする。それに紛れて、太陽が。
たいよ、う?
小さなちいさなその人は、ボクを姫にすると言う。
何を言っているのか分からないけど、このあたたかさはあの人だと。
日が昇らない一日は無いと、まるで笑われた気分だった。
「姫、姫……うん、いいよ。ボクは、アナタの姫だ」
「アナタだけの、姫になりたい」
重なる唇と周りの悲鳴、なぜだかそれもおかしくって。
甘い匂いと暖かなイヴァン、ボクも顔が熱いけど、アナタもちゃんと林檎みたいだ。
ネエ、ボクでいいのかな。ダメなんだろうなぁ。でも、でもね。
「ボクのオウジサマに、なってください」
(ハジメテのわがままぐらい、許してくれたっていいよね)
「…あげない。何もあげないよ。もう、必要もないだろうに」
「なんでボクは、こんなにも愚かな種族に産まれてしまったのだろう」
「こんなものでも欲しがる人はいるんだね。戯れに千切って、そのへんに捨てるのさ。
…ああ、もうやめて。イタイのは、スキじゃないのに…」
「ねえ、アナタはこんなボクを嫌うのかな」
「自分の価値すら分からない、コレをアナタに渡すことにすら怯えている、ボクの事を」
「ネエ、それでもいい、それでもいいから…覚えて、いて」
◇ルルイ・キキ。
女性/149cm/外見年齢25歳(実年齢50歳前後)。
【蒼折鳥 セキセツチョウ】の成人女性。
「ボク」「アナタ」「名前呼び捨て」
◇蒼折鳥とは:翼が硬化し宝石の様になってしまった種族。
売ればそこそこの高値がつく…と言われていたのは大昔のこと。
今では日常のアクセサリーにも使われるほど出回っているので安値。
硬化した為飛行は不可能、取ったら生えてこない。
◇性格について:非常に温厚で優しい女です。全てを受け入れ、全てを許しました。
言われた事はなんでもしますが、欲しいものはあげません。
欲しいならば、奪い取ってくれても構わないのです。抵抗はしません。
いつか洞窟に押し入った誰かに何か奪われました。気がついたら翼も欠けていました。
それでいいのです。奪い取ってください。抵抗はしません。抵抗はしません。
無価値な翼を受け入れ、翼と自分が同等の価値であると思い込んでいます。
しかし、この翼を人に渡す事はしません。欲しいならば、もぎ取って下さい。
翼を全てもいでなくなろうがどうでもいいと言いました。どうでも、あなたの目に一瞬でも自分が映ればそれでいいと。価値が無くなった自分をあなたにすべての人に会った人にどうにか覚えてほしくてぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちもいでもがれて痛くても声を上げても泣いても死んでも私達はそれが宿命なのです。受け入れたほうが楽なのです。
この体は、彼女は【蒼折鳥】なのですから。
◇◆◆♡素敵なご縁を結んで頂きました
いたくない、おおきくて、ちいさなアナタ イヴァンさん【illust/50684554】
大雨の中、一筋の光が外に落ちる。洞窟の中にも響く轟音が耳障りで。
がらんと珍しく一人になった暗闇に、唐突にきらきら輝く光が見えた。
大きなおおきなその人。はじまりはここから。
「…あげない。何もあげないよ。旅人さん」
(ああ。痛いのはキライなんだ。
ここに来たっていうことは、そういうことなんだろう)
「……いいもの、ボロボロ…。…アナタは、何処を見ているの…?」
(あれ、でも何もしない。
痛いのはキライ。そうだキライ。なんでそんなに、心配そうにボクを見るの)
「おか、し…」
(ネェ。ネェ…。
手には小さなお菓子一つ。初めての状況に戸惑って)
いくら待っても、いくら見つめても、なんにもされない状況下。
気づけば外は晴れ模様で、その人は立ち上がりボクを見た。
太陽の光が反射して輝く髪、太陽の中で真っ直ぐに伸びる背、太陽に。
まるで向日葵の様な人。アア、眩しい。
「アナタは、すぐにボクを忘れてしまいそうだ」
ポツリ、いつもの悪い癖。
それでも太陽は、笑っておおきな手をボクに向けてーーー。
(ちかり、ちかりとめがくらむ。
いたくない。イタくない。ネ、痛くないんだ)
(あたたかな、ひだまりのような)
(ヘンな人)
「…うん、ボクは覚えているよ。お菓子」
(あの時のひだまり)
「イヴァン……イヴァン。ボクはルルイ、好きに、呼んで」
(名前を教えたのは久しぶりで)
「…じゃあ、嬉しいよ。ボクはまたアナタに会えて、うれしいんだ…」
(何度も何度も太陽は洞窟に登って)
「みんな、大事な家族だよ」
(いつの間にか出来た、素敵な家族。アナタと同じで、みんなボクを忘れない)
「やあ。アナタはおかしな人だね。ボクに興味が無い癖に、ボクを覚えてくれるんだ」
ーー本当に、ヘンな人。
でも、でもね、やっぱりそう上手くは行かない。
洞窟に登らない太陽。つかない照明、いつまで待っても、いつまで経っても、イヴァンは来ない。
(コレのせいかな)
(コレがあるからだめなのかな)
(イヴァンも、価値の無いボクなんてやっぱりいらなかったのかなぁ)
わすれられた。大丈夫、いつものこと。
仕方ないんだ、ボクなんか、覚えていなくてもイヴァンに問題はない。
周りで家族は心配そうな顔をして、うん、大丈夫だよ。
ネエ、だからみんな、そんな顔しないで。
昨日も今日も明日も明後日も、もうずっと彼には会えない。
きらきら眩しいたいようさん。ボクとは余りに不釣り合いで、アア、アアア。
(この気持ちが何なのか)
(この燻りは何なのか)
(わからないし、わかれない。だってボクは、こんなにも醜い)
暗闇が広がる、顔を上げることすら億劫で、なんだかとても眠い。
がやがや周りで声がする。家族のいとしい声がする。それに紛れて、太陽が。
たいよ、う?
小さなちいさなその人は、ボクを姫にすると言う。
何を言っているのか分からないけど、このあたたかさはあの人だと。
日が昇らない一日は無いと、まるで笑われた気分だった。
「姫、姫……うん、いいよ。ボクは、アナタの姫だ」
「アナタだけの、姫になりたい」
重なる唇と周りの悲鳴、なぜだかそれもおかしくって。
甘い匂いと暖かなイヴァン、ボクも顔が熱いけど、アナタもちゃんと林檎みたいだ。
ネエ、ボクでいいのかな。ダメなんだろうなぁ。でも、でもね。
「ボクのオウジサマに、なってください」
(ハジメテのわがままぐらい、許してくれたっていいよね)
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2015-06-01 18:41
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