禁じられた姿、それは罪を纏う心の具現
「ウルトラマンリベリオンの正体」の続きです。
『アクアハート』で作り出した特殊空間に咲耶を避難させた後、一人だけ空間の外に出て、彼女を襲った宇宙人達を惨殺する為に、自ら禁じた第三の戦闘フォームになった、と言うシチュエーションです。
この姿はリベリオンの第三の戦闘フォーム『ギルティハート』です。
その姿は禍々しく、とてもウルトラマンとは言えず、何よりも現状では非常に不安定な為、6年前に変身した時に纏った時以来、龍輝はこの戦闘フォームを纏う事を禁じて来ました。
この状態のリベリオンは『アクアハート』と『スティールハート』の両者の性能を持っています。
このフォームの専用特殊能力「マディフィケイション」と「オブリヴィオン」が使えます。
更に専用特殊能力ではありませんが影の中に溶け込み、影から影へ、瞬時に移動する能力もあります。
実はウルトラマンリベリオンの三つの戦闘フォームにはモチーフがあります。
「…龍輝?」
「…」
特殊空間の中でウルトラマンリベリオン―龍輝に抱き上げられていたウルトラアース―咲耶は呆けた表情で彼の名を呟く。
だが龍輝はその呟きに答えず、ただ申し訳なさそうに涙を流していた。
そして龍輝は静かに咲耶を降ろすとそのまま踵を返す。
「ま、待ってっ!龍輝、待ってっ!」
自分から離れていく彼を捕まえようと立ち上がろうとする咲耶だが、宇宙植物に嬲られた体にうまく力を込める事が出来なかった。
咲耶の言葉に龍輝は足を止める事無く、特殊空間の出口を作るとそれを通って外に出る。
「龍輝っ!!」
閉じていく空間の出口に向かって、彼の名を叫ぶ咲耶だが出口が完全に閉じる寸前、彼の呟きが耳に届く。
「すぐ終わらせる…」
「「「…」」」
何もないはずの空間から出てきた龍輝を、咲耶を襲っていた宇宙人達は睨んでいた。
先程まで咲耶を散々嬲っていた宇宙植物も獲物を奪われた事が気に入らないのか、触手を鞭のようにしならせ、敵意をあらわにしていた。
そんな「存在」を視界に入れながら龍輝はぼんやりと呟く。
「…何年振りだ…?…こんなにも…」
龍輝がそこまで呟いた瞬間、宇宙人達と宇宙植物は未曾有の恐怖を感じた。
徐々に龍輝の体から漆黒のオーラが湧き出すように出ていた。
それは徐々に彼の体を包み込んでいく。
すると龍輝の両手に鋭利で禍々しい鉤爪が出現し、彼の長い髪を後ろで束ねていた紐が千切れ、まるで生きているかのように髪の毛が騒めき、鋭利な鉤爪を持つ三対の触碗を作り出す。
その姿はもはや彼らの知るウルトラマンとはかけ離れていた。
「こんなにも、どうしようもなく…殺したいと願ったのはっ!!」
言葉と共に龍輝の三対の触碗が目にも止まらない速さで宇宙植物に襲い掛かり、四方八方から貫く。
ついさっきまで生きていた宇宙植物は今は動く事すらしない、骸と化す。
その宇宙植物だったものを龍輝はつまらなそうに目を細めると、それを貫いていた触碗が広げるように引っ張る。
その瞬間、宇宙植物はバラバラに引き裂かれ、周囲に飛び散る。
それを見ていた宇宙人達は最初こそただ黙っていたが、徐々に現実を認識してきたのか、体を震わせ、ゆっくりと龍輝に気付かれないように後退る。
だが龍輝はそれを許さなかった。
「ぐえっ!?」
「があっ!!」
「あがっ!!」
彼らの影から先程まで宇宙植物をズタズタに引き裂いていた触碗が飛び出し、背中から彼らの胸と腹を貫く。
そして触碗はそのまま彼らを持ち上げる。
三人の宇宙人の内、二人の息は既になかった。
だが一人は虫の息ではあったが生きていた。
「ひゅー…ひゅー…や…やめで、ぐれ…だ…だずげで…ごぼっ!」
胸と腹を貫かれ、持ち上げられた状態で宇宙人は龍輝に命乞いをする。
だがそれは今の龍輝の怒りのスイッチ以外何物でもなかった。
「…お前らは…」
「…?」
命乞いをする宇宙人に龍輝は静かに呟く。
ただ静かに。
「咲耶が「やめて」と言った時、どうした?」
溢れ出る怒りとは裏腹に冷たい声で呟くように尋ねる。
その目はもはや目の前に吊るされている宇宙人を「生き物」とは見ていなかった。
それが彼が見た、最後の光景だった。
宇宙人が龍輝の問いかけに答える前に、彼の触碗が宇宙人の体を上半身と下半身に引き千切る。
それは既に息絶えている宇宙人の体もである。
周囲に肉片と共に宇宙人の臓物や鮮血が飛び散る。
だが龍輝はそれを、何も感じないかのような冷たい表情のまま眺めていた。
「…」
やがて龍輝は影から触碗を引き抜くと無造作に腕を振るった。
すると先程まで臓物や鮮血、肉片が飛び散り、惨劇と化していた境内が、いつも通りの綺麗に掃除された境内に戻っていた。
宇宙人の肉片も、血の一滴も、臓物特有の匂いすらもそこにはなかった。
特殊空間の中に残された咲耶はただひたすら頭の中を整理していた。
だがよくよく考えて見ると整理するまでもなく、龍輝がウルトラマンリベリオンである、となればこれまでの疑問はほぼ解消された。
「…私は…相変わらず、護られてばかり…なのね…」
咲耶が力なく呟くと特殊空間に亀裂は入る音が響く。
その音に気付いた咲耶が周囲を見回すと空間に亀裂が走り、どんどん大きな亀裂へと変わっていた。
そしてその特殊空間は音も無く砕け散り、咲耶は神社の境内に戻ってきた。
だが、そこには誰の姿はなかった。
「…龍輝…?」
ここにいた宇宙人達や宇宙植物は恐らく彼が倒したのだろう事は容易に想像が着いた。
しかしそれをした龍輝本人の姿がない事に、咲耶は周囲を見回して幼馴染の姿を探した。
だが周囲に彼の気配を感じる事は出来なかった。
その瞬間、咲耶は言い知れぬ不安を感じた。
そしてウルトラアースの姿から先程まで境内で掃除していた時の巫女装束に戻ると、彼女は自宅へと駆け足で戻っていく。
龍輝の下に行く為に。
今行かなければ、永遠に彼と会えなくなる。
そんな不安が彼女の体を突き動かした。
「…龍輝、どこ…?」
『アクアハート』で作り出した特殊空間に咲耶を避難させた後、一人だけ空間の外に出て、彼女を襲った宇宙人達を惨殺する為に、自ら禁じた第三の戦闘フォームになった、と言うシチュエーションです。
この姿はリベリオンの第三の戦闘フォーム『ギルティハート』です。
その姿は禍々しく、とてもウルトラマンとは言えず、何よりも現状では非常に不安定な為、6年前に変身した時に纏った時以来、龍輝はこの戦闘フォームを纏う事を禁じて来ました。
この状態のリベリオンは『アクアハート』と『スティールハート』の両者の性能を持っています。
このフォームの専用特殊能力「マディフィケイション」と「オブリヴィオン」が使えます。
更に専用特殊能力ではありませんが影の中に溶け込み、影から影へ、瞬時に移動する能力もあります。
実はウルトラマンリベリオンの三つの戦闘フォームにはモチーフがあります。
「…龍輝?」
「…」
特殊空間の中でウルトラマンリベリオン―龍輝に抱き上げられていたウルトラアース―咲耶は呆けた表情で彼の名を呟く。
だが龍輝はその呟きに答えず、ただ申し訳なさそうに涙を流していた。
そして龍輝は静かに咲耶を降ろすとそのまま踵を返す。
「ま、待ってっ!龍輝、待ってっ!」
自分から離れていく彼を捕まえようと立ち上がろうとする咲耶だが、宇宙植物に嬲られた体にうまく力を込める事が出来なかった。
咲耶の言葉に龍輝は足を止める事無く、特殊空間の出口を作るとそれを通って外に出る。
「龍輝っ!!」
閉じていく空間の出口に向かって、彼の名を叫ぶ咲耶だが出口が完全に閉じる寸前、彼の呟きが耳に届く。
「すぐ終わらせる…」
「「「…」」」
何もないはずの空間から出てきた龍輝を、咲耶を襲っていた宇宙人達は睨んでいた。
先程まで咲耶を散々嬲っていた宇宙植物も獲物を奪われた事が気に入らないのか、触手を鞭のようにしならせ、敵意をあらわにしていた。
そんな「存在」を視界に入れながら龍輝はぼんやりと呟く。
「…何年振りだ…?…こんなにも…」
龍輝がそこまで呟いた瞬間、宇宙人達と宇宙植物は未曾有の恐怖を感じた。
徐々に龍輝の体から漆黒のオーラが湧き出すように出ていた。
それは徐々に彼の体を包み込んでいく。
すると龍輝の両手に鋭利で禍々しい鉤爪が出現し、彼の長い髪を後ろで束ねていた紐が千切れ、まるで生きているかのように髪の毛が騒めき、鋭利な鉤爪を持つ三対の触碗を作り出す。
その姿はもはや彼らの知るウルトラマンとはかけ離れていた。
「こんなにも、どうしようもなく…殺したいと願ったのはっ!!」
言葉と共に龍輝の三対の触碗が目にも止まらない速さで宇宙植物に襲い掛かり、四方八方から貫く。
ついさっきまで生きていた宇宙植物は今は動く事すらしない、骸と化す。
その宇宙植物だったものを龍輝はつまらなそうに目を細めると、それを貫いていた触碗が広げるように引っ張る。
その瞬間、宇宙植物はバラバラに引き裂かれ、周囲に飛び散る。
それを見ていた宇宙人達は最初こそただ黙っていたが、徐々に現実を認識してきたのか、体を震わせ、ゆっくりと龍輝に気付かれないように後退る。
だが龍輝はそれを許さなかった。
「ぐえっ!?」
「があっ!!」
「あがっ!!」
彼らの影から先程まで宇宙植物をズタズタに引き裂いていた触碗が飛び出し、背中から彼らの胸と腹を貫く。
そして触碗はそのまま彼らを持ち上げる。
三人の宇宙人の内、二人の息は既になかった。
だが一人は虫の息ではあったが生きていた。
「ひゅー…ひゅー…や…やめで、ぐれ…だ…だずげで…ごぼっ!」
胸と腹を貫かれ、持ち上げられた状態で宇宙人は龍輝に命乞いをする。
だがそれは今の龍輝の怒りのスイッチ以外何物でもなかった。
「…お前らは…」
「…?」
命乞いをする宇宙人に龍輝は静かに呟く。
ただ静かに。
「咲耶が「やめて」と言った時、どうした?」
溢れ出る怒りとは裏腹に冷たい声で呟くように尋ねる。
その目はもはや目の前に吊るされている宇宙人を「生き物」とは見ていなかった。
それが彼が見た、最後の光景だった。
宇宙人が龍輝の問いかけに答える前に、彼の触碗が宇宙人の体を上半身と下半身に引き千切る。
それは既に息絶えている宇宙人の体もである。
周囲に肉片と共に宇宙人の臓物や鮮血が飛び散る。
だが龍輝はそれを、何も感じないかのような冷たい表情のまま眺めていた。
「…」
やがて龍輝は影から触碗を引き抜くと無造作に腕を振るった。
すると先程まで臓物や鮮血、肉片が飛び散り、惨劇と化していた境内が、いつも通りの綺麗に掃除された境内に戻っていた。
宇宙人の肉片も、血の一滴も、臓物特有の匂いすらもそこにはなかった。
特殊空間の中に残された咲耶はただひたすら頭の中を整理していた。
だがよくよく考えて見ると整理するまでもなく、龍輝がウルトラマンリベリオンである、となればこれまでの疑問はほぼ解消された。
「…私は…相変わらず、護られてばかり…なのね…」
咲耶が力なく呟くと特殊空間に亀裂は入る音が響く。
その音に気付いた咲耶が周囲を見回すと空間に亀裂が走り、どんどん大きな亀裂へと変わっていた。
そしてその特殊空間は音も無く砕け散り、咲耶は神社の境内に戻ってきた。
だが、そこには誰の姿はなかった。
「…龍輝…?」
ここにいた宇宙人達や宇宙植物は恐らく彼が倒したのだろう事は容易に想像が着いた。
しかしそれをした龍輝本人の姿がない事に、咲耶は周囲を見回して幼馴染の姿を探した。
だが周囲に彼の気配を感じる事は出来なかった。
その瞬間、咲耶は言い知れぬ不安を感じた。
そしてウルトラアースの姿から先程まで境内で掃除していた時の巫女装束に戻ると、彼女は自宅へと駆け足で戻っていく。
龍輝の下に行く為に。
今行かなければ、永遠に彼と会えなくなる。
そんな不安が彼女の体を突き動かした。
「…龍輝、どこ…?」
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2015-08-16 13:26
Comments (7)
シリーズ実現したら、主題歌はAdoさんが歌唱するのかな? あの人なら、多数の分野の物語にも向いていると思います。www
ゴジラ「な、なんだ?」
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