鳩の親子(セイトウとギントウ)
青い豆と銀の豆を啄ばむ聖鳥。彼らはそう呼ばれていた。
鳩の一族の司祭である「青陶(セイトウ)」は妻を亡くしてからは一人で息子であるギントウを慎ましやかに育てていた。
鳩族は雄でも乳を出すことが出来るため、息子である「銀陶(ギントウ)」はそれを啜って成長してきた。ギントウは12歳を過ぎても乳離れをせず、それは父親の悩みでもあったが、息子が可愛い一身でそれを与え続けていた。
鳩の親子は一方は「光也(コウヤ)」と言う名の小さなフクロウの学友であり、一方はそのフクロウの教師であった。教師としてセイトウは、フクロウが猛禽族であることを非難せず、心優しく生きることを教えていた。その一方でギントウはフクロウを酷く差別し、優しくあろうとする無抵抗なフクロウを傷つけていた。
フクロウはその暴力と暴言に耐えていたが、あるときフクロウは悲しみのあまりにギントウに掴みかかった。猛禽の爪はひ弱な鳩を深く、引き裂いた。そしてそのまま鳩は赤い血を流して死んでしまった。セイトウは息子の死を深く悲しみ、フクロウを初めて猛禽として憎んだが、フクロウを責めることはしなかった。恐怖に怯えるフクロウを静かになだめ、抱きしめ、静かに泣き、フクロウがこれ以上傷つかぬようにと学校からは追い出しはしたが、それ以上関わろうとはしなかった。
「私の息子は貴方に、殺されも仕方のないことをした。私はそれでもあの子を責めることが出来なかった。あの子の死は私の罰なのでしょう。貴方は正しいことをしたのでしょう。貴方は身を守るためにその爪を血でぬらしたのでしょう。そうだと言ってくれませんか、貴方は正しいのだと」
フクロウは時々思い出す。死んだ鳩の真っ赤な血の色を。雛を亡くした親鳥の鳴き声を。
そして滾り、燃える、血を求める自分の事を。
自分はきっと正しくなど無かったという事を。
しかしそれは確かな憎しみだったという事を。
鳩の一族の司祭である「青陶(セイトウ)」は妻を亡くしてからは一人で息子であるギントウを慎ましやかに育てていた。
鳩族は雄でも乳を出すことが出来るため、息子である「銀陶(ギントウ)」はそれを啜って成長してきた。ギントウは12歳を過ぎても乳離れをせず、それは父親の悩みでもあったが、息子が可愛い一身でそれを与え続けていた。
鳩の親子は一方は「光也(コウヤ)」と言う名の小さなフクロウの学友であり、一方はそのフクロウの教師であった。教師としてセイトウは、フクロウが猛禽族であることを非難せず、心優しく生きることを教えていた。その一方でギントウはフクロウを酷く差別し、優しくあろうとする無抵抗なフクロウを傷つけていた。
フクロウはその暴力と暴言に耐えていたが、あるときフクロウは悲しみのあまりにギントウに掴みかかった。猛禽の爪はひ弱な鳩を深く、引き裂いた。そしてそのまま鳩は赤い血を流して死んでしまった。セイトウは息子の死を深く悲しみ、フクロウを初めて猛禽として憎んだが、フクロウを責めることはしなかった。恐怖に怯えるフクロウを静かになだめ、抱きしめ、静かに泣き、フクロウがこれ以上傷つかぬようにと学校からは追い出しはしたが、それ以上関わろうとはしなかった。
「私の息子は貴方に、殺されも仕方のないことをした。私はそれでもあの子を責めることが出来なかった。あの子の死は私の罰なのでしょう。貴方は正しいことをしたのでしょう。貴方は身を守るためにその爪を血でぬらしたのでしょう。そうだと言ってくれませんか、貴方は正しいのだと」
フクロウは時々思い出す。死んだ鳩の真っ赤な血の色を。雛を亡くした親鳥の鳴き声を。
そして滾り、燃える、血を求める自分の事を。
自分はきっと正しくなど無かったという事を。
しかしそれは確かな憎しみだったという事を。
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2018-06-15 15:01
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