【夢廻】笹木 朔太郎【第一世代】
◆こちら【illust/125203275】の素敵な企画にお邪魔します。よろしくお願い致します!
(4/14)メッセージお返事しております。不着の際はご一報くださいませ。
◆笹木 朔太郎 人/男/26歳
ある日見た夢の中で、不思議な誰かから真っ白な狐面を手渡された。かの人に言われた通り、その面に写すべき『唯一』を探している。またそれを描くために絵の練習をする夢をよく見るが、大変難航中。狐面のことはそれにまつわる夢の中以外では、すっかり忘れている。
温厚で真面目な質。現実の職業は教員だが、現在は体調不良のため休職中。たまに子ども達に勉強を教える夢を見たり、自身を『先生』と呼んで話をする時がある。
◆狐面:とある獏が気紛れに配って回っているもので、持ち主の夢の中でのみ形を持つ。面を介して持ち主の『人生』や『想い』といったものを読み取るのが、その獏の娯楽のひとつらしい。夢の中で手ずから面に写した(絵付、装飾など)ものは持ち主の魂に刻まれ、寝ても醒めても忘れることはなくなる。ただし長く持ち続けると自身の面=魂自体が写し取られ輪廻の輪から外れることになるので、そうなる前には別の者へ手渡すべきだろう。
※第一〜五世代の間に当該獏の投稿予定はありません。
◆(2/11)素敵なご縁を頂きました。よろしくお願い致します!
華珠さん【illust/126581275】
「この面に、あなたを写してもいいですか?
私の『唯一』の寄る辺、あなたの心根の優しさが、寝ても醒めても、この身が朽ちても…
いつでも私を救ってくれるのではないかと期待してしまうんです」
——誰だったかな、あの子は。
ふっと湧いた疑問。今この瞬間まで、目の前の光景に違和感など抱いていなかったというのに。しかし気がついてみると、確かにちょっとおかしな光景ではあった。
ちょうど今、幼い女子に背を叩かれてしまったその娘の存在は——子ども達よりいくつも年上に見える、二本の角を額に生やした鬼の娘が、彼らに混ざって楽しそうに"鬼遊び"に興じる光景は。
……ああ、思い出した。
そうだ、そうだ。呉服屋の娘さんだ……名前はなんと言ったかな、ええと。
「——華珠さん!そろそろ時間なので、子ども達に声を掛けて頂いていいですか?」
私が『時間だ』というと、近くでそれを聞いた子ども達はエーッと不満げな声をあげる。華珠さんは子ども達の反応を見てくすくす笑いながら、自身も少し名残惜しそうな顔をする。
今日はこれでお終い。子ども達を家に帰さないと。日が暮れてしまっては、親御さん方が心配してしまいますから。
先生さよーなら、と筆記具を抱えた子ども達が私の前を横切っていく。
「皆さん、さようなら。また明日」
……そう告げた時、心にぽっかり穴が空いたような感じがした。なぜでしょう。また明日、同じようにあの子達がやってきて、私はそれを————
**
子ども達と並んで席に着く彼女が、難しい顔をして往来物の文字を追っていたものだから、これは少し難しかっただろうかと懸念した。
「難しいところがあれば言ってくださいね」と声をかけると、にっこり笑顔が返ってきた。
本当は絵図で示せるとわかりやすいのでしょうが、と呟くと、描いてくれるの?と素直に問われた。うっ。
つい言葉に詰まった私の代わりに、『朔太郎先生に絵を強請っちゃいけないよ!』と他の子が悪戯っぽく笑いながら答えた。不思議そうに首を傾げる華珠さんを見て、私の“絵”を知る子達が口々に教えてくれる。『見た事のない生き物を描くのが上手いのよ。私はお花を描いてって言ったのに!』『ちっちゃい子に鳥を描かされて、泣かせたこともあったよな』などなど…。
「まあ……そういうことです。ほら皆さん!お喋りばかりしてないで」
ぱんっ、と一つ手を打つと、子ども達は『はぁい』と返事をし、くすくす笑いながら居住まいを正した。
その授業の後、華珠さんの近くに子ども達が寄って感心しきりに声を上げていた。何事かと思い覗いてみれば、華珠さんがさらさらと筆を走らせる紙の上に、着物の絵柄の図面や可愛らしい装飾品の意匠が生み出されていた。
『先生じゃ逆立ちしたって敵わないね!』はいはい、言われずとも。
**
——あ、これは夢だ。
時にはそう気づくこともある。
庭の端で縁側に腰掛け、そこここで笑い声を上げる子ども達を見ていると、つい頬が緩む。その反面、ほんの少し息苦しいのが、なかなか収まらない。
——あの子たちと遊ぶのは、もうおしまい?
問いかける声がして視線を上げると、華珠さんがじっと私を見下ろしていた。
「少し休んでいるだけです。華珠さんがあの子達の面倒を見て下さるおかげで、ゆっくり休憩できました」
何事もない風に答える。華珠さんはにっこり笑って、楽しいからいくらでも遊べる、なんて言う。
先生も遊ぼう——彼女に手を引かれた。鞠遊びに興じる子ども達に、混ざりたくてうずうずしている様子で……それでも私のところに声をかけにきたのだから、優しい子ですね。
「そうですね、一緒に遊びましょうか」
**
いつか見た大切な景色を、未練がましく繰り返している。もうあそこには戻れないのではないかと……もはや恐れることすらなくなって、ただ虚しくなるだけの夢を。
——そういえば、またあの子が夢に出た。
目が覚めて、彼女の姿を見たと気づく度に、ばつの悪い思いも重なっていった。
だっておかしいではありませんか。特別深いご縁もないお嬢さんを、こんな風に何度も夢に見るだなんて。彼女の人となりなど知らないくせに、自分の都合の良いようにその笑顔を想像しているなんて。
あまつさえそんな夢想の姿に、勝手にも安らぎを感じてしまったなんて……。
全文【https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24111627#2】
今度は——白い桜の花が美しい、この良き夢に廻り会えたあなたへ。
◆メッセージは即日〜3日以内にお返事できる予定です。それ以上音沙汰ない場合は、お手数です再送頂けますと幸いです。
◆CS背景に素敵な素材をお借りしました
【illust/66444949】【illust/101260480】【illust/116015062】
◆問題等ございましたら、お手数ですがメッセージ等からよろしくお願いいたします。
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◆笹木 朔太郎 人/男/26歳
ある日見た夢の中で、不思議な誰かから真っ白な狐面を手渡された。かの人に言われた通り、その面に写すべき『唯一』を探している。またそれを描くために絵の練習をする夢をよく見るが、大変難航中。狐面のことはそれにまつわる夢の中以外では、すっかり忘れている。
温厚で真面目な質。現実の職業は教員だが、現在は体調不良のため休職中。たまに子ども達に勉強を教える夢を見たり、自身を『先生』と呼んで話をする時がある。
◆狐面:とある獏が気紛れに配って回っているもので、持ち主の夢の中でのみ形を持つ。面を介して持ち主の『人生』や『想い』といったものを読み取るのが、その獏の娯楽のひとつらしい。夢の中で手ずから面に写した(絵付、装飾など)ものは持ち主の魂に刻まれ、寝ても醒めても忘れることはなくなる。ただし長く持ち続けると自身の面=魂自体が写し取られ輪廻の輪から外れることになるので、そうなる前には別の者へ手渡すべきだろう。
※第一〜五世代の間に当該獏の投稿予定はありません。
◆(2/11)素敵なご縁を頂きました。よろしくお願い致します!
華珠さん【illust/126581275】
「この面に、あなたを写してもいいですか?
私の『唯一』の寄る辺、あなたの心根の優しさが、寝ても醒めても、この身が朽ちても…
いつでも私を救ってくれるのではないかと期待してしまうんです」
——誰だったかな、あの子は。
ふっと湧いた疑問。今この瞬間まで、目の前の光景に違和感など抱いていなかったというのに。しかし気がついてみると、確かにちょっとおかしな光景ではあった。
ちょうど今、幼い女子に背を叩かれてしまったその娘の存在は——子ども達よりいくつも年上に見える、二本の角を額に生やした鬼の娘が、彼らに混ざって楽しそうに"鬼遊び"に興じる光景は。
……ああ、思い出した。
そうだ、そうだ。呉服屋の娘さんだ……名前はなんと言ったかな、ええと。
「——華珠さん!そろそろ時間なので、子ども達に声を掛けて頂いていいですか?」
私が『時間だ』というと、近くでそれを聞いた子ども達はエーッと不満げな声をあげる。華珠さんは子ども達の反応を見てくすくす笑いながら、自身も少し名残惜しそうな顔をする。
今日はこれでお終い。子ども達を家に帰さないと。日が暮れてしまっては、親御さん方が心配してしまいますから。
先生さよーなら、と筆記具を抱えた子ども達が私の前を横切っていく。
「皆さん、さようなら。また明日」
……そう告げた時、心にぽっかり穴が空いたような感じがした。なぜでしょう。また明日、同じようにあの子達がやってきて、私はそれを————
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子ども達と並んで席に着く彼女が、難しい顔をして往来物の文字を追っていたものだから、これは少し難しかっただろうかと懸念した。
「難しいところがあれば言ってくださいね」と声をかけると、にっこり笑顔が返ってきた。
本当は絵図で示せるとわかりやすいのでしょうが、と呟くと、描いてくれるの?と素直に問われた。うっ。
つい言葉に詰まった私の代わりに、『朔太郎先生に絵を強請っちゃいけないよ!』と他の子が悪戯っぽく笑いながら答えた。不思議そうに首を傾げる華珠さんを見て、私の“絵”を知る子達が口々に教えてくれる。『見た事のない生き物を描くのが上手いのよ。私はお花を描いてって言ったのに!』『ちっちゃい子に鳥を描かされて、泣かせたこともあったよな』などなど…。
「まあ……そういうことです。ほら皆さん!お喋りばかりしてないで」
ぱんっ、と一つ手を打つと、子ども達は『はぁい』と返事をし、くすくす笑いながら居住まいを正した。
その授業の後、華珠さんの近くに子ども達が寄って感心しきりに声を上げていた。何事かと思い覗いてみれば、華珠さんがさらさらと筆を走らせる紙の上に、着物の絵柄の図面や可愛らしい装飾品の意匠が生み出されていた。
『先生じゃ逆立ちしたって敵わないね!』はいはい、言われずとも。
**
——あ、これは夢だ。
時にはそう気づくこともある。
庭の端で縁側に腰掛け、そこここで笑い声を上げる子ども達を見ていると、つい頬が緩む。その反面、ほんの少し息苦しいのが、なかなか収まらない。
——あの子たちと遊ぶのは、もうおしまい?
問いかける声がして視線を上げると、華珠さんがじっと私を見下ろしていた。
「少し休んでいるだけです。華珠さんがあの子達の面倒を見て下さるおかげで、ゆっくり休憩できました」
何事もない風に答える。華珠さんはにっこり笑って、楽しいからいくらでも遊べる、なんて言う。
先生も遊ぼう——彼女に手を引かれた。鞠遊びに興じる子ども達に、混ざりたくてうずうずしている様子で……それでも私のところに声をかけにきたのだから、優しい子ですね。
「そうですね、一緒に遊びましょうか」
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いつか見た大切な景色を、未練がましく繰り返している。もうあそこには戻れないのではないかと……もはや恐れることすらなくなって、ただ虚しくなるだけの夢を。
——そういえば、またあの子が夢に出た。
目が覚めて、彼女の姿を見たと気づく度に、ばつの悪い思いも重なっていった。
だっておかしいではありませんか。特別深いご縁もないお嬢さんを、こんな風に何度も夢に見るだなんて。彼女の人となりなど知らないくせに、自分の都合の良いようにその笑顔を想像しているなんて。
あまつさえそんな夢想の姿に、勝手にも安らぎを感じてしまったなんて……。
全文【https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=24111627#2】
今度は——白い桜の花が美しい、この良き夢に廻り会えたあなたへ。
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2025-01-29 00:14
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