幸運EX＋＋＋バディによる哭倉村RTA⑰

「助けて……お爺様……」

当主だった祖父が亡くなってから、時弥は体調が一層悪化する日が続いていた。
夜は特に酷く、日中はほとんど起き上がれないほどであった。
体中が重く、熱く、節々が痛い。

（もしかしたら、このまま僕も……母様……）

母は龍賀本家の会合に呼び出されたため、今はいない。
父も仕事で忙しく、不在にしがちだ。
あまりにも、心細い。

そんな苦しみの波間、ふと夜中に時弥は目を覚ます。

（誰か、そこにいるの……？）

まとわりつくような只ならぬ気配に、無理やり上半身を起こす。
視線の先、黒い靄のような影が揺らめいている――金色の二つの光が、まるで人の目のようだ……。
思わず≪ヒュッ≫と空気を吸い込む。

（に、逃げないと……！　誰か……！）
≪――スパンッ！！≫

助けを求める時弥に呼応するように、障子が勢いよく開いた。

「――時弥に触るな！」

アルコールの匂いをまとった母が、手に持ったビール瓶を影に向かって振り下ろした。

≪ああああああ―――――ッ！！≫

どこかで聞いたような声で、靄は悲鳴を上げて搔き消えた。
時弥の熱は引っ込んだ。

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本家の会合から走って帰ってきた庚子さん、新たなビール瓶を怪しい影に振り下ろしたシーンはカッコ良かったですね！
二回目以降の入村では、靄が霧散したとき思わずガッツポーズしてしまいました。
これが切っ掛けで時ちゃんは乗っ取られ回避＆母の闘気に触発されて覚醒したんですよね確か(｀･ω･´)