【紅い糸】幸路 しの【結縁】
紅い糸【illust/41002568】※R-15企画
♡ブクマや評価、コメントもありがとうございます!
■幸路しの(18歳/女/153cm)
小さな簪屋の売り子をしている、無愛想な女の子。
大人びた顔立ちとじっとりと背負う幸薄さのせいで成人以上に見られるが、
行動の端々には経験の浅い少女の姿が見て取れる。
ただ静かに人生を生き、何も望まず死んでいこうと願う少女。
(誰も私の言葉など、聞いてはいない。わかっているの。)
3/4…特別なご縁をいただきました。
■名も知らぬ悪い人:瀬野 冬士郎さん【illust/41914203】
その人は突然この店に訪れました。
記者だと名乗るこの人は、この静かな店先で無意味な言葉の雨を降らせて去っていく不思議な人。
あぁでもその度に、私は自分の価値の薄さを突きつけられる思いなのです。
一つ言葉を返す間に軽薄な言葉が足下を埋めていく。
それなのに貴方の目は少しも私を見てはいない。
(…貴方と話すと、酷く胸が痛む。……あぁ、嫌。)
明日も貴方は来るのでしょうか。私に答えられる事など一つも無いのに。
(貴方は誰?)
ある日ふと、貴方は私の年齢を聞かれましたね。
それまで貴方は私の名前すら知る気が無かったはずなのです。
「十八です。学校には行けませんでしたが。」
きっと、この言葉が、全ての始まりだったのでしょう。
薄暗いアパートの一室、畳に散らばる卑俗な言葉が並ぶ紙切れ。
背を向け煙草をくゆらす貴方と、
手足をきつく堅く、縄に縛られた私。
それはゆっくりと静かに、崩れる音を聞く日々の始まり。
+
私はずっとこの部屋で窓の外を眺めるばかり。
殺されることもなく、手篭めにされる事もなく。
不思議な日々は奇妙な違和感を抱えたままで続きます。
「子供が、憎いですか。」
「…女優に軍人。そればかり。」
「憎いのに、追うんですね。」
「私がお嫌いですか。」
「お嫌いならば、二度と触れなければそれで良いのに。」
(あの静かな店先と、この薄暗い部屋の中、一体何が違うのでしょう。私など取るに足らない透明な存在。そんなもの閉じ込めておいても何も意味は無いのに。どうして、私は此処に?どうして貴方はそんな顔をしているの?嫌い嫌いと吐く貴方の言葉が歪んで聞こえる。なんで、どうして、貴方は何を排除しているの。)
散らばる紙切れに連なる言葉、貴方の瞳の奥、貴方の言葉、貴方の表情。
今の私の世界の全ては、ゆらゆらと大事なものを覆い隠しているのですね。
「………なんて、可哀想な人。」
+
貴方の言葉が弱々しくなったのはいつからでしょうか。
私の手首に縄が無くなったのは?
今はもう心許なげに片足に絡むだけのこの縄が、外れてしまえば、…私は。
+
生暖かい、掌が、濡れて、おかしいな、
目の前が真っ白で、どうして、私は、なんで、だって…
貴方の背中が遠ざかる映像だけが、頭に残って、
目の前に横たわるこの真っ赤な景色を受け入れられない。
両手からこぼれた刃を見つめても、尚。
+
これからお夕飯のお買い物です。
そういえば貴方がお好きなものを知りませんでした。
でもきっと、聞いても答えてくださらないでしょうね。
貴方はただ横たわりただ死を望むばかり。
もう、いいの。
もう自分の心も貴方の心もわかりはしません。
何もかも綯い交ぜで世界は真っ暗。それでも
貴方が私の名前を呼んでくれるのは、なんだかとても、嬉しいのです。
(浅ましい私。こんな無意味な日々が続くわけがないのに)
【関係者さま】
●川西 栄さん…【illust/41767840】
(呉服屋の若旦那さま。かんざしをお店に置いていただいています。)
「…いつも御贔屓くださりありがとうございます旦那様。」
「…いえ…綺麗な着物は綺麗な方が着ればよろしいのでは。」
●織原 蒼介さん…【illust/41668144】
(亡き奥様がかんざし屋常連のお客様でお知り合いに。時々お店に顔を出してくださいます。)
(目を見つめられなければ優しく良い旦那様だと思いつつ、落ち着かないので常に目をそらしてお話ししています。)
「…いらっしゃ……あっ…織原様。ご無沙汰しております。」
「…その、私こそ…お話中に顔をそらすなんて……失礼をして……」
【交流】
既知関係、友人関係などメッセージやツイッターでお気軽に!
→ツイッター(https://twitter.com/_bo_ro_)
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■幸路しの(18歳/女/153cm)
小さな簪屋の売り子をしている、無愛想な女の子。
大人びた顔立ちとじっとりと背負う幸薄さのせいで成人以上に見られるが、
行動の端々には経験の浅い少女の姿が見て取れる。
ただ静かに人生を生き、何も望まず死んでいこうと願う少女。
(誰も私の言葉など、聞いてはいない。わかっているの。)
3/4…特別なご縁をいただきました。
■名も知らぬ悪い人:瀬野 冬士郎さん【illust/41914203】
その人は突然この店に訪れました。
記者だと名乗るこの人は、この静かな店先で無意味な言葉の雨を降らせて去っていく不思議な人。
あぁでもその度に、私は自分の価値の薄さを突きつけられる思いなのです。
一つ言葉を返す間に軽薄な言葉が足下を埋めていく。
それなのに貴方の目は少しも私を見てはいない。
(…貴方と話すと、酷く胸が痛む。……あぁ、嫌。)
明日も貴方は来るのでしょうか。私に答えられる事など一つも無いのに。
(貴方は誰?)
ある日ふと、貴方は私の年齢を聞かれましたね。
それまで貴方は私の名前すら知る気が無かったはずなのです。
「十八です。学校には行けませんでしたが。」
きっと、この言葉が、全ての始まりだったのでしょう。
薄暗いアパートの一室、畳に散らばる卑俗な言葉が並ぶ紙切れ。
背を向け煙草をくゆらす貴方と、
手足をきつく堅く、縄に縛られた私。
それはゆっくりと静かに、崩れる音を聞く日々の始まり。
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私はずっとこの部屋で窓の外を眺めるばかり。
殺されることもなく、手篭めにされる事もなく。
不思議な日々は奇妙な違和感を抱えたままで続きます。
「子供が、憎いですか。」
「…女優に軍人。そればかり。」
「憎いのに、追うんですね。」
「私がお嫌いですか。」
「お嫌いならば、二度と触れなければそれで良いのに。」
(あの静かな店先と、この薄暗い部屋の中、一体何が違うのでしょう。私など取るに足らない透明な存在。そんなもの閉じ込めておいても何も意味は無いのに。どうして、私は此処に?どうして貴方はそんな顔をしているの?嫌い嫌いと吐く貴方の言葉が歪んで聞こえる。なんで、どうして、貴方は何を排除しているの。)
散らばる紙切れに連なる言葉、貴方の瞳の奥、貴方の言葉、貴方の表情。
今の私の世界の全ては、ゆらゆらと大事なものを覆い隠しているのですね。
「………なんて、可哀想な人。」
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貴方の言葉が弱々しくなったのはいつからでしょうか。
私の手首に縄が無くなったのは?
今はもう心許なげに片足に絡むだけのこの縄が、外れてしまえば、…私は。
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生暖かい、掌が、濡れて、おかしいな、
目の前が真っ白で、どうして、私は、なんで、だって…
貴方の背中が遠ざかる映像だけが、頭に残って、
目の前に横たわるこの真っ赤な景色を受け入れられない。
両手からこぼれた刃を見つめても、尚。
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これからお夕飯のお買い物です。
そういえば貴方がお好きなものを知りませんでした。
でもきっと、聞いても答えてくださらないでしょうね。
貴方はただ横たわりただ死を望むばかり。
もう、いいの。
もう自分の心も貴方の心もわかりはしません。
何もかも綯い交ぜで世界は真っ暗。それでも
貴方が私の名前を呼んでくれるのは、なんだかとても、嬉しいのです。
(浅ましい私。こんな無意味な日々が続くわけがないのに)
【関係者さま】
●川西 栄さん…【illust/41767840】
(呉服屋の若旦那さま。かんざしをお店に置いていただいています。)
「…いつも御贔屓くださりありがとうございます旦那様。」
「…いえ…綺麗な着物は綺麗な方が着ればよろしいのでは。」
●織原 蒼介さん…【illust/41668144】
(亡き奥様がかんざし屋常連のお客様でお知り合いに。時々お店に顔を出してくださいます。)
(目を見つめられなければ優しく良い旦那様だと思いつつ、落ち着かないので常に目をそらしてお話ししています。)
「…いらっしゃ……あっ…織原様。ご無沙汰しております。」
「…その、私こそ…お話中に顔をそらすなんて……失礼をして……」
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2014-02-27 19:11
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