【PFT】光さす庭で~世界渡りの渡り鳥【インターバル】
<光さす庭で>
~新都エインペトラル・どこかの戦場~
「君は・・・ハタモリ!」
ハタモリ「おや、第8中隊はこちらでしたか?ご無事で何よりです。」
「いや、撤退戦中だ。前線の後退が早い。君も気をつけてくれ。
しかし良かった。君はプロクネー救護隊と連携を取っていたね。」
ハタモリ「ええ、できる限り負傷兵を転送して彼女らの負担を減らす任に。」
「ナシラさんを知っているかい?」
ハタモリ「存じてます。僕も命を救われました。勇気ある女性ですな。」
「なら話は早い。済まないがこの手紙を渡してくれないか?
実は戦場を移る時に少し言いあいをしてしまってね。
気持ちはわかってもらえたと思うが・・・、強く言ってしまった事が心残りで。」
ハタモリ「何故僕に?」
「君の方が生き残る可能性が高いからだ。俺は・・・外様とはいえ将だ、
戦に生き残れても、その後までは・・・。」
ハタモリ「・・・わかりました、お預かりします。ですが一つ条件が。」
「・・・なんだい?」
ハタモリ「戦が終わったら必ず彼女に会ってこの手紙の内容を直接伝えること。」
「・・・だからそれは」
ハタモリ「お忘れでしたか?僕は確かにあなたに言いましたよ?『決して命を諦めてはなりませんよ。
なんとしてでも生き残るのです』と。」
「・・・」
ハタモリ「なんとしてでも、とは『何を捨てても、何を代償にしてでも』ということです。
自らの生命を守るために何かを犠牲にすることを、僕は浅ましいとは思わない!
大切な人が居て、伝えたい事があるならなおさらだ!」
彼は長く美しい黒髪をなびかせて天を仰ぐ。
「・・・わかったよ、ハタモリ。その条件、飲もう。」
ハタモリ「しかと承りました。この手紙は僕の旗にかけて必ずお渡しします。」
「頼む。」
------------------------------------------------------
~新都エインペトラル・どこかの野戦病院~
「ナシラさん?」
ナシラは光さす庭を、本来の穏やかさを取り戻したかのような元野戦病院の美しい庭を
眺めながらうとうとしていたようだ。
聞き覚えのある声に優しく起こされる。
ナシラ「・・・ハタモリさん。ご無事だったのですね。」
ハタモリ「今日は血濡れじゃないね。」
ナシラ「その二つ名、あまんまりだと思いませんか?」
ハタモリ「そうだね。君は血濡れじゃなければこんなにも美しいのだから」
ナシラ「褒めても何も出ませんよ?今日は・・・私に会いに?」
ナシラは冗談めかしてそんなことを言う。だが、ハタモリは真面目な顔で「そうだよ」と肯定する。
ハタモリ「一度会いに来たのだが皆忙しそうだったからね。会えてよかった。」
ナシラ「もうこの地を離れられたのかと思っていました。」
ハタモリ「実はその準備をしていたのだよ。いや、今はそんなことはいい。
君宛ての大事な手紙を預かっているんだ。」
ナシラ「手紙?」
ハタモリ「これだよ、どうぞ。」
ハタモリはナシラの手に手紙を渡す。
ナシラが手紙を受け取ると、ハタモリはその上から手を添えた。
ハタモリ「ナシラさん。その手紙を読む前に聞いて欲しい事があるんだ。」
ナシラは驚いて目を丸くする。
ハタモリ「僕はこの後すぐにこの地を離れる。そして多分もうこの地には戻ってこないだろう。
それほど遠くに行くんだ。・・・つまり。
ハタモリは目を伏せる。
ハタモリ「つまり、今生の別れになる可能性が高い。」
ナシラ「そうですか。寂しくなりますね。」
ナシラにしてみればそれはカラドア軍や眷属軍、プロクネー救護隊の面々にしても同じことだ。
ハタモリ「だから最後に聞いておきたい。この世界は戦乱に満ちている。
多分この先戦乱がなくなり、平和が訪れる可能性も低いと思っている。」
ハタモリの手に力が入る。
ハタモリ「君は・・・ここではない別の世界で、争いのない平和な世界で生きたいと思わないか?」
ハタモリは真っ直ぐナシラの瞳を見つめる。
ナシラもまた、ハタモリの眼を見返して真っ直ぐに応えた。
ナシラ「それでも、ここは私の生まれた世界です。戦争がなくならなくても、いやだからこそ。
私は逃げずにここで生き続け、この世界と関わっていたい。」
ハタモリは再び目を伏せ。そっと手を離す。
ハタモリ「そうだね。君ならきっとそういうと思ったよ。」
ハタモリは手を離し、踵を返すと片手を振りながら別れを告げる。
ハタモリ「じゃぁね、ナシラさん。君の幸せをずっと願っているよ。」
ナシラ「ハタモリさんもお元気で・・・無理はダメですよ?」
ハタモリ「肝に銘じておくよ!」
ハタモリは手に持った旗を軽く振ると、その姿は夢幻のように消え去った。
全てが終わり、次の戦いが始まるまでの凪の時、光さす幸福な少女の居る庭での出来事。
------------------------------------------------------
<世界渡りの渡り鳥>
~メイジア~
ハタモリは「世界渡りの渡り鳥」と呼ばれる頭が大きく扇形をした奇妙な鳥に預けていた旗に
転送された。
ハタモリは世界を渡る力は持たない。だが転送自体は世界の隔たりに遮られることはない。
この奇妙な鳥は世界を渡る力を持つ。一体何故?どんな目的で世界を渡るかは不明だが、
何かに導かれるように一定周期で世界を渡るのだそうだ。
ハタモリは彼らの飛ぶ姿を眺めながら、レギリアで出会った人々のことを思い出す。
再び合間見えるものも居るだろう、もう会うことはないものも居るだろう。
前の世界への寂しさとこの世界への期待を胸に、彼は再び歩き始める。
------------------------------------------------------
一応こちら【illust/50283580】の
ハタモリ視点のお話です。
これでレギリア編は終了です。
こんな容姿【illust/49706918】の某イケメンから手紙を預かって居ますが、このイケメンが誰かは不明です。
会話中に【illust/49995011】の辺りの
会話が出てきますが偶然かもしれません。一体誰なんだイケメン・・・!
ハタモリは手紙の内容は知りません。
お借りしました血塗れてないナシラさん【illust/49785442】
ハタモリ【illust/49663462】
都合が悪い場合はパラレル&スルー推奨です。
キャラクターの行動を縛るものではありません。
問題ありましたらメッセージ等で連絡お願いします。
~新都エインペトラル・どこかの戦場~
「君は・・・ハタモリ!」
ハタモリ「おや、第8中隊はこちらでしたか?ご無事で何よりです。」
「いや、撤退戦中だ。前線の後退が早い。君も気をつけてくれ。
しかし良かった。君はプロクネー救護隊と連携を取っていたね。」
ハタモリ「ええ、できる限り負傷兵を転送して彼女らの負担を減らす任に。」
「ナシラさんを知っているかい?」
ハタモリ「存じてます。僕も命を救われました。勇気ある女性ですな。」
「なら話は早い。済まないがこの手紙を渡してくれないか?
実は戦場を移る時に少し言いあいをしてしまってね。
気持ちはわかってもらえたと思うが・・・、強く言ってしまった事が心残りで。」
ハタモリ「何故僕に?」
「君の方が生き残る可能性が高いからだ。俺は・・・外様とはいえ将だ、
戦に生き残れても、その後までは・・・。」
ハタモリ「・・・わかりました、お預かりします。ですが一つ条件が。」
「・・・なんだい?」
ハタモリ「戦が終わったら必ず彼女に会ってこの手紙の内容を直接伝えること。」
「・・・だからそれは」
ハタモリ「お忘れでしたか?僕は確かにあなたに言いましたよ?『決して命を諦めてはなりませんよ。
なんとしてでも生き残るのです』と。」
「・・・」
ハタモリ「なんとしてでも、とは『何を捨てても、何を代償にしてでも』ということです。
自らの生命を守るために何かを犠牲にすることを、僕は浅ましいとは思わない!
大切な人が居て、伝えたい事があるならなおさらだ!」
彼は長く美しい黒髪をなびかせて天を仰ぐ。
「・・・わかったよ、ハタモリ。その条件、飲もう。」
ハタモリ「しかと承りました。この手紙は僕の旗にかけて必ずお渡しします。」
「頼む。」
------------------------------------------------------
~新都エインペトラル・どこかの野戦病院~
「ナシラさん?」
ナシラは光さす庭を、本来の穏やかさを取り戻したかのような元野戦病院の美しい庭を
眺めながらうとうとしていたようだ。
聞き覚えのある声に優しく起こされる。
ナシラ「・・・ハタモリさん。ご無事だったのですね。」
ハタモリ「今日は血濡れじゃないね。」
ナシラ「その二つ名、あまんまりだと思いませんか?」
ハタモリ「そうだね。君は血濡れじゃなければこんなにも美しいのだから」
ナシラ「褒めても何も出ませんよ?今日は・・・私に会いに?」
ナシラは冗談めかしてそんなことを言う。だが、ハタモリは真面目な顔で「そうだよ」と肯定する。
ハタモリ「一度会いに来たのだが皆忙しそうだったからね。会えてよかった。」
ナシラ「もうこの地を離れられたのかと思っていました。」
ハタモリ「実はその準備をしていたのだよ。いや、今はそんなことはいい。
君宛ての大事な手紙を預かっているんだ。」
ナシラ「手紙?」
ハタモリ「これだよ、どうぞ。」
ハタモリはナシラの手に手紙を渡す。
ナシラが手紙を受け取ると、ハタモリはその上から手を添えた。
ハタモリ「ナシラさん。その手紙を読む前に聞いて欲しい事があるんだ。」
ナシラは驚いて目を丸くする。
ハタモリ「僕はこの後すぐにこの地を離れる。そして多分もうこの地には戻ってこないだろう。
それほど遠くに行くんだ。・・・つまり。
ハタモリは目を伏せる。
ハタモリ「つまり、今生の別れになる可能性が高い。」
ナシラ「そうですか。寂しくなりますね。」
ナシラにしてみればそれはカラドア軍や眷属軍、プロクネー救護隊の面々にしても同じことだ。
ハタモリ「だから最後に聞いておきたい。この世界は戦乱に満ちている。
多分この先戦乱がなくなり、平和が訪れる可能性も低いと思っている。」
ハタモリの手に力が入る。
ハタモリ「君は・・・ここではない別の世界で、争いのない平和な世界で生きたいと思わないか?」
ハタモリは真っ直ぐナシラの瞳を見つめる。
ナシラもまた、ハタモリの眼を見返して真っ直ぐに応えた。
ナシラ「それでも、ここは私の生まれた世界です。戦争がなくならなくても、いやだからこそ。
私は逃げずにここで生き続け、この世界と関わっていたい。」
ハタモリは再び目を伏せ。そっと手を離す。
ハタモリ「そうだね。君ならきっとそういうと思ったよ。」
ハタモリは手を離し、踵を返すと片手を振りながら別れを告げる。
ハタモリ「じゃぁね、ナシラさん。君の幸せをずっと願っているよ。」
ナシラ「ハタモリさんもお元気で・・・無理はダメですよ?」
ハタモリ「肝に銘じておくよ!」
ハタモリは手に持った旗を軽く振ると、その姿は夢幻のように消え去った。
全てが終わり、次の戦いが始まるまでの凪の時、光さす幸福な少女の居る庭での出来事。
------------------------------------------------------
<世界渡りの渡り鳥>
~メイジア~
ハタモリは「世界渡りの渡り鳥」と呼ばれる頭が大きく扇形をした奇妙な鳥に預けていた旗に
転送された。
ハタモリは世界を渡る力は持たない。だが転送自体は世界の隔たりに遮られることはない。
この奇妙な鳥は世界を渡る力を持つ。一体何故?どんな目的で世界を渡るかは不明だが、
何かに導かれるように一定周期で世界を渡るのだそうだ。
ハタモリは彼らの飛ぶ姿を眺めながら、レギリアで出会った人々のことを思い出す。
再び合間見えるものも居るだろう、もう会うことはないものも居るだろう。
前の世界への寂しさとこの世界への期待を胸に、彼は再び歩き始める。
------------------------------------------------------
一応こちら【illust/50283580】の
ハタモリ視点のお話です。
これでレギリア編は終了です。
こんな容姿【illust/49706918】の某イケメンから手紙を預かって居ますが、このイケメンが誰かは不明です。
会話中に【illust/49995011】の辺りの
会話が出てきますが偶然かもしれません。一体誰なんだイケメン・・・!
ハタモリは手紙の内容は知りません。
お借りしました血塗れてないナシラさん【illust/49785442】
ハタモリ【illust/49663462】
都合が悪い場合はパラレル&スルー推奨です。
キャラクターの行動を縛るものではありません。
問題ありましたらメッセージ等で連絡お願いします。
27
18
1033
2015-05-10 23:40
Comments (0)
No comments