【華縁】柊 午萼【五世代目】

　

　
「いのちと　愛の炎に　身を焦がしながら　海で生まれた」
「父と　母の　愛は　とても　尊い」

「おれは　人間より大きい　でも　この広い海の中では　皆平等に　いのちの大きさは　変わらない」
「父と母は正しい　子を大事にした　だから　子を大事にしないやつを見ると　燃やし尽くしたくなる」
　

華の由縁　illust/96568934

Ｃ:。ミ
　

▶伴侶様◀
颱様　illust/100619808

彼にとって自分より大きな者に出会った感覚は子供の頃以来、母親以来だった。
海に突然現れた不自然な壁は生きていて、目がついていた。
閉じられた瞼を見るところ眠っているようだったので、目の前の巨大な生命体が再び目覚めるまで目の付近にはりついて待つことにした。

「きみは　なんという存在なんだ？　おれは　見てくれの通り　蛸だ　衣蛸だ」
「母より大きい者は初めて見た　きみのことを知りたい　おしゃべりをしてくれないか」
「きみはどこからきた？　深海か？　それともあの海の果てからきたのか？」

「きみはこの海のような人だな　きみを見ていると　日の光で輝く水面を　海の底から見ている気持ちになれるし　声を聞いていると心地よいさざ波を聞いている気持ちになって落ち着く」
「そういえば　きみの名を聞いていなかった　きみはなんという名があるんだ？」
「颱か　よい名だ」

「きみの何か当たったかもという感覚が　これらにとっては体ごと吹き飛んでしまう衝撃になりうるし　骨が折れる可能性もある」
「だから　子供の近くにいる時は気を付けた方がいい　おれが見ておくよ」

「おれはきみのいのちを近くで感じていたい　この海ではどこででも繋がっていられるが　きみをそばに感じられないのは　かなしい」
「おれは足が千切れてもすぐ治る　それくらい体は丈夫だ　だから血だって　いくらでもさしだせる」
「おれはきみとつがいになりたい　つがいになってくれないか？」

「あんこうの雄が　雌の体に噛みついて　一つになっていくだろう」
「おれは　ああなってでも　きみといたいんだ」

　
Ｃ:。ミ

柊 午萼（ひいらぎ ごがく）｜男｜30m・人型時｜26歳
半妖｜衣蛸・人間・二口女・烏天狗・小袖の手・片輪車・天火
再生能力が高く、水棲に向いた体で基本海の中で過ごしている
が、着物としての本能なのか髪部分が濡れたままなのは気持ち悪く感じる
耳の端に鳥の羽根が生えており、後頭部から背中にかけて鋭利な牙が生えた口がある
子供を邪険に扱う大人を見ると怒りが込み上げてしまい、
普段コントロールできている炎が体から吹き出してしまう
「おれを見るより我が子を見ろ！！」と火を噴きながら怒鳴る

Ｃ:。ミ

海中か、海辺の大きな洞窟に蛸壺へおさまるように潜り込んで目につく生き物をじっと見ている男。
妖怪としての姿は十歳前後の少年を30ｍの巨体として引き伸ばした姿をしている。人型をとる事も可能で、その際は190cmほどの青年の姿になる。
本体は着物で、髪の毛に当たる部分が布になっている。(着物の花柄はガマズミ)濡れた部分を乾かす為に着物の姿に戻り岩場で昼寝をよくしているらしいがそのまま寝てしまい、夜中に通りかかった人間から「あの浜辺には白い手を垂らした着物の霊がいる」とちょっとした怪談話として噂されていた時期もあった。

父が母と自分達の栄養になる事を望み、母が父を食べた後に深い海の底へ潜りずっと自分達を守り、産んだ後も自分達兄弟のためだけに動いていた姿を見ていたので「親は子を命に換えても守るし、命を惜しいとも思わないもの」と思っている。父が自分の命を差し出して自分達の栄養となってくれた事も相まって、自分達は最上の愛の元に生まれたと確信している。母の腹の中で、母の記憶を断片的に見たようで父には直接会った事は無いが父の顔を知っている。
弱っていき、父と同じ炎を持つ自分達に燃やされる事を望んだ母の願いを受け入れ、兄弟と手を繋ぎながら母を燃やしたのは今でも鮮明に覚えている。
その際に母が燃える炎で照らされた兄弟の横顔を見て、初めて「美しい」という感情を知った。
兄弟の事は兄弟・一つのいのちとして、深く愛しておりとても大事に想っている。

表情が乏しく基本的には感情を強く表には出さないが、「兄弟に何かしらの害が及んだ時」「子を蔑ろにする親見かけた時」は般若のような顔をして相手の鼓膜を破らんばかりに怒鳴りながら体中から火を噴き出す。なかなか激昂する事は無いが、一度火がつくと激しい激情を相手にぶつけてしまう。
問題がどういう形であれ解決したとしても暫くは落ち着く事ができず二次被害を生み出さんばかりの行動をとるが、兄弟に宥められると水をかけられた火のように大人しくなる。
こういった行動もあるが、元々母譲りの食人衝動・大食漢の面があるので人間に接する事が得意ではなく父や兄弟と同じ職につきたいと思った時期もあったが諦めた。意外と手先は器用なので着物を染めたり何かに作り直したりするのは得意。兄弟の元によく染め直した着物などを持って行っている。

色々な親子を見て寂しいという感情を最近知った。
　
Ｃ:。ミ

父　柊 綃午様 illust/99414480
「父には　会った事は　無い」「でも　とても　やさしい人だった」

母　雨夜 萼貝 illust/99654785
「母は　子を守った　心を削りながら　やさしいことをしようとした」

同時に生まれた双子の片割れ　柊 紲凪様 illust/100563957
「せつ　魚とってきた　一緒に食べよう　蛸飯も　作るか」
「おれ達の　いのちは　これからも　巡っていく　うれしいな」
　

母祖父　雨夜 涼風様 illust/98743331
人食いとどうして一緒になろうとしたのか不思議。愛情深い人なのだろうと一目置いている
母祖母　藤 illust/98817775
母が死んでから定期的に自分達に望む事はあるかと聞いてきた。悲しそうな顔が印象的
父祖母　細雪様 illust/99074807
この世の人では無いので会った事は無いがとても美しい人だったのだろうと思っている

母叔父　雨夜 雪浪様 illust/99413621
一度だけ会った事がある、母が語っていた人物像よりも優しげに見えた。独特の雰囲気が魅力的だった

父従姉妹　雨夜 蕗様 illust/100142272
一度だけ会った事がある、いのちの力強さやあたたかさを持つ素晴らしい人だと思った
　
Ｃ:。ミ
　
「燃え尽きても良い　食べられても構わない　つがいだから」
「でも　つがいとずっと　一緒にいられたら　もっと　愛を深められる　かもしれない」