【フェシーナ】マラミク【第一期】
「できること……?ええと、ごはんとかなら……出せます。……かばんができること、ですけど。わたしは……とくに、なにも……」
「『ありがとう』……とは、なんといういみのことばですか?『ごめんなさい』なら知ってます。おんなじいみ……?」
「…………しらない、そんなの」
✾マラミク(Maramikhu)
女性/13歳(外見年齢)/150cm
一人称:わたし 二人称:あなた
ステータスポイント:10(STR:0 DEX:0 INT:0 LUCK:10)
✾ふしぎなかばん
魔術師ハンジが手掛けた作品のひとつである魔法の鞄。
最大の特徴は鞄に手を入れ願うだけで、ありとあらゆるものをどこからともなく取り出すことが可能(制限付き)なこと。
誰でも使えるわけではなく、鞄自身が選出した保持者のみが使える。選ばれた者は強制的に思い出(心による記憶を指す)を失う代わりに、不老と鞄の使用権限を得る。
鞄の譲渡は基本的に不可だが、保持者は一度だけ自身の「大きな感情」と「命」を代価に他者に『何か』を与えることができ、これが鞄の譲渡及び保持者からの開放となる唯一の方法である。
※CSの3ページ目は鞄に付属されている取扱説明書です。保持者が知ることが出来る鞄についての知識はこの説明書に書いてあることだけです。一部落書きがあり、代価に「命」を使用することが伏せられていますが、見るからに怪しいので勘の良い人なら気付けるでしょう。現保持者のマラミクは全く気付いていません。
+++覚書【https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11924485】
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✾10/7.素敵なご縁を頂きました……!
夢の国 スクピディア クラウンさん 【illust/77049314】
一緒に夢を見よう。
----------
マラミクは長い時をひとりで旅していた。
目的はなかった。行き先もなかった。そんな現状に何かを思う心もなかった。大地を転がり続けるだけの日々。
だからきっと『そう』認識されてしまったのだ。
夢の国スクピディア。気付けばそこに立っていた。
-----
呆然とする彼女に白亜の城の王・クラウンは笑いかける。
「ともだちになってくれよ!」
「と、ともだち?ともだちって、なんですか……?」
すると王様は咳払いをひとつ。
「教えてあげよう!ともだちとは『楽しい』を共有する仲間さ!」
こうして彼の手を取ったその日から、マラミクの人生は、そう、文字通り『劇的』に変わった。
日々を踊るように、ステップを踏む度に。楽しさを知る。喜びを知る。笑うことを知る。あたたかさを知る。
欠けた時を埋めるような。いや、欠けた時など知らないかのように。
まるで夢のような日々。夢を知らない彼女にとって、それは紛れもなく幸福な時間だった。
無限の夢の国、スクピディア。
しかし、ゴミとして運ばれながらも所詮生身のヒトであるマラミクにとっては有限の夢であった。
夢幻の裏側、見えざる劣悪な環境に身を置き続けた彼女の身体はついに悲鳴を上げる。
夢で隠し続けて今も尚笑う彼女の頬は痩せこけていた。喉の奥で噛み殺した呻き声が聞こえた。病床に伏しながら「まだあそべるよ。だいじょうぶだよ」と言う少女の姿は、クラウンの遠い日の記憶と重なる。
クラウンはマラミクの細い身体を強く抱きしめ、そして決意した。「一緒に国を出よう」と。
少年は握り締めた懐中時計の音を胸に聞きながら。少女は左手の薬指のお守りを胸に抱きながら。ついに国の外、大海原へ飛び出した。
遠い遠い水平線、波に攫われたふたつの影。その後は誰も知らない。
-----
「あら、クラウンちゃんとマラミクちゃんは?」
「さぁ?」
「そういやいつの間に消えてたね、あのでっけー城」
「まぁいいんじゃない?それはそれで別の遊びをすればさ!」
「何する!?」
「世界一高い山を背面飛びするバケモノごっこ!!」
「ぎゃはは!なんじゃそら!!」
「あの子達今はどうしてるのだろう」
「あの子達?親方、孫いたっけ?そもそも結婚してたっけ?」
「喧しいぞ坊主。ずいぶん前にな、ウチのキャラバンに居たんだよ、男の子と女の子が。出会った時なんかひどくボロボロだわ、とんでもなく世間知らずだわ、なかなか風変わりなふたりでなぁ……」
「でも働き者だったわよね。男の子は君と同じくらいの年だったのよ」
「ふぅん?会いたかったな。友達になれたかもしれないじゃん」
「ははは!ずいぶん前って言っただろう。今頃はお前よりひとまわりもふたまわりも頼もしいだろうよ」
「友達じゃなくて人生の先輩、かしら?」
「えぇっ!?そんなぁ」
笑い声は響く。変わりゆく世界で変わらない世界は続く。
世界の隅っこ、枯れぬ朱色の花畑の中。ふたつの錆びた指輪が今も寝そべっている。
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✾問題等ありましたら、pixivメッセージ等でご一報下さい。
✾企画元-フェシーナの花々 illust/76345084
「『ありがとう』……とは、なんといういみのことばですか?『ごめんなさい』なら知ってます。おんなじいみ……?」
「…………しらない、そんなの」
✾マラミク(Maramikhu)
女性/13歳(外見年齢)/150cm
一人称:わたし 二人称:あなた
ステータスポイント:10(STR:0 DEX:0 INT:0 LUCK:10)
✾ふしぎなかばん
魔術師ハンジが手掛けた作品のひとつである魔法の鞄。
最大の特徴は鞄に手を入れ願うだけで、ありとあらゆるものをどこからともなく取り出すことが可能(制限付き)なこと。
誰でも使えるわけではなく、鞄自身が選出した保持者のみが使える。選ばれた者は強制的に思い出(心による記憶を指す)を失う代わりに、不老と鞄の使用権限を得る。
鞄の譲渡は基本的に不可だが、保持者は一度だけ自身の「大きな感情」と「命」を代価に他者に『何か』を与えることができ、これが鞄の譲渡及び保持者からの開放となる唯一の方法である。
※CSの3ページ目は鞄に付属されている取扱説明書です。保持者が知ることが出来る鞄についての知識はこの説明書に書いてあることだけです。一部落書きがあり、代価に「命」を使用することが伏せられていますが、見るからに怪しいので勘の良い人なら気付けるでしょう。現保持者のマラミクは全く気付いていません。
+++覚書【https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=11924485】
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✾10/7.素敵なご縁を頂きました……!
夢の国 スクピディア クラウンさん 【illust/77049314】
一緒に夢を見よう。
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マラミクは長い時をひとりで旅していた。
目的はなかった。行き先もなかった。そんな現状に何かを思う心もなかった。大地を転がり続けるだけの日々。
だからきっと『そう』認識されてしまったのだ。
夢の国スクピディア。気付けばそこに立っていた。
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呆然とする彼女に白亜の城の王・クラウンは笑いかける。
「ともだちになってくれよ!」
「と、ともだち?ともだちって、なんですか……?」
すると王様は咳払いをひとつ。
「教えてあげよう!ともだちとは『楽しい』を共有する仲間さ!」
こうして彼の手を取ったその日から、マラミクの人生は、そう、文字通り『劇的』に変わった。
日々を踊るように、ステップを踏む度に。楽しさを知る。喜びを知る。笑うことを知る。あたたかさを知る。
欠けた時を埋めるような。いや、欠けた時など知らないかのように。
まるで夢のような日々。夢を知らない彼女にとって、それは紛れもなく幸福な時間だった。
無限の夢の国、スクピディア。
しかし、ゴミとして運ばれながらも所詮生身のヒトであるマラミクにとっては有限の夢であった。
夢幻の裏側、見えざる劣悪な環境に身を置き続けた彼女の身体はついに悲鳴を上げる。
夢で隠し続けて今も尚笑う彼女の頬は痩せこけていた。喉の奥で噛み殺した呻き声が聞こえた。病床に伏しながら「まだあそべるよ。だいじょうぶだよ」と言う少女の姿は、クラウンの遠い日の記憶と重なる。
クラウンはマラミクの細い身体を強く抱きしめ、そして決意した。「一緒に国を出よう」と。
少年は握り締めた懐中時計の音を胸に聞きながら。少女は左手の薬指のお守りを胸に抱きながら。ついに国の外、大海原へ飛び出した。
遠い遠い水平線、波に攫われたふたつの影。その後は誰も知らない。
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「あら、クラウンちゃんとマラミクちゃんは?」
「さぁ?」
「そういやいつの間に消えてたね、あのでっけー城」
「まぁいいんじゃない?それはそれで別の遊びをすればさ!」
「何する!?」
「世界一高い山を背面飛びするバケモノごっこ!!」
「ぎゃはは!なんじゃそら!!」
「あの子達今はどうしてるのだろう」
「あの子達?親方、孫いたっけ?そもそも結婚してたっけ?」
「喧しいぞ坊主。ずいぶん前にな、ウチのキャラバンに居たんだよ、男の子と女の子が。出会った時なんかひどくボロボロだわ、とんでもなく世間知らずだわ、なかなか風変わりなふたりでなぁ……」
「でも働き者だったわよね。男の子は君と同じくらいの年だったのよ」
「ふぅん?会いたかったな。友達になれたかもしれないじゃん」
「ははは!ずいぶん前って言っただろう。今頃はお前よりひとまわりもふたまわりも頼もしいだろうよ」
「友達じゃなくて人生の先輩、かしら?」
「えぇっ!?そんなぁ」
笑い声は響く。変わりゆく世界で変わらない世界は続く。
世界の隅っこ、枯れぬ朱色の花畑の中。ふたつの錆びた指輪が今も寝そべっている。
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✾企画元-フェシーナの花々 illust/76345084
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2019-10-01 00:04
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